御飯と御御御汁(ごはんとおみおつけ)
早逝された漫画家杉浦日向子さんが、書いています。一日三食食べるようになった江戸時代後期、江戸では、朝お米を炊き、暖かくて真っ白な飯を、有難い御(おん)の字を付けて、御飯(ごはん)呼び、2種類の具の入った味噌汁を、御の字を三つもつけて御御御汁(おみおつけ)と呼んだそうです。それに、納豆かたくわんをお菜(おかず)に朝食を食べたとか。へえ、そうなの・・・と遠い昔の江戸の長屋の朝の、早く食べないと冷めてしまうほかほかの御飯を想像しつつ、あれっ、この朝食って昭和21年生まれの私が子供だったころの我が家の朝食と同じだわとびっくり。御飯と御御御汁と納豆は江戸時代から連綿と続いてきた伝統食だったのですね。江戸時代は意外に近いのかしら・・・・
冷蔵庫がない台所
三ツ星だか四つ星だかの有名なフランスの料理人の話。理想の厨房は冷蔵庫がないことだという。その日に採れた食材を使って料理するから冷蔵保存の必要がないと。自信に満ちた料理人の顔を想像しつつ、う~ん、すごいわ!さすがだわと感心しつつ、あれっ、私が子供だった頃、うちにも冷蔵庫がなくて、母は毎日買い物籠を腕に掛けてその日に食べるものを買いにいってたっけ。冷蔵庫がないので夏はバターが溶けてました。当時は、油も醤油もソースもびんを持って近所の酒屋へ買いに行くのは子供の仕事。そういう生活をエコっていうんですね、現代では。
美味しい卵
最近、平飼いの卵が巷に増えています。有精卵と大きく書いて売っている場合、有難く買うわけですが、昭和30年前後には、卵は全部有精卵。黄身の中にポツンと目のようなものがありました。とっても美味しくて、卵かけ御飯はご馳走でしたし、遠足には必ず茹で卵を持っていきましたが、半紙に薬のように包んだ塩を付けて食べるゆで卵の美味しかったこと!92歳の母は、私が頑張って良いと言われる卵を買ってきても、昔の味の卵ってないのね、といいます。
野菜嫌いの子供
だいぶ前から、野菜嫌いな子供たちの話をききます。野菜好きの私としてはどういうことか理解できないでいましたが、最近、無農薬無化学肥料の美味しい野菜だと食べるという話をきき、なるほどと思いました。私が生まれ育った昭和20年代はまだ農薬も化学肥料も使われていなかったので、野菜もお米もとっても美味しかったのです。
私たちは、膨大なエネルギーを使って、20世紀という100年をかけて、美味しくない、つまらない、安全でない世の中を作ってきてしまったのでしょうか。